耐震偽装と報道責任

 - 本当のことが知りたいんで...耐震偽装と報道責任にタックルしちゃおうかな、と
 
 

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■□ 「いまも社長の判断は評価している」(日経アーキテクチュア, 2006年11月27日号 )

今日、図書館に行ったので、日経アーキテクチュアのバックナンバーを見ていたら、2006年11月27日号の「検証『偽造事件』後のチェック体制 対症療法にも限界」という記事が目にとまりました。

さっそく、読んでみました。

イーホームズだけが取り消し処分 できたての基準に照らして

[引用開始]

・・・矢継ぎ早に国が打ち出した対策は、万全とはいえない。確認検査に携わる現場から早くも「形骸化する」との指摘があるからだ。事件後の建築確認制度の実情を検証しながら、国が新たに掲げたチェック体制の行方を探る。(浅野祐一、佐々木大輔)

[引用終了]

この記事は3つのテーマをあつかってました。管理人には、「偽装を見逃した組織その後」が、一番、興味深い記事でした。

この記事を要約すると:

(1)国土交通省は2006年5月下旬に、姉歯元建築士の構造計算書の偽造を見抜けなかった建築基準適合判定資格者18人と確認検査機関の4社を処分した。

(2)処分基準は、事件後に急いで作成を開始しはじめて(つまり、事件以前はなかった)、5月9日に公表したものだった。

(3)確認検査機関の4社への処分は内容は3種類。つまり、(a)指定取り消し, (b)確認検査の3ヶ月業務停止命令(500平方メートルを超える建物),(c)業務改善計画書の提出などを求める監督命令。

さて、どこに、どんな処分がされたかというと:

 ・イーホームズ→(a)
 ・日本ERI→(b)+(c)
 ・東日本住宅評価センター→(c)
 ・ビューローベリタスジャパン→(c)

「最も厳しい処分を受けたのは、見逃し件数が一番多かったイーホームズ」(p.75)で、残りの3つの機関は取り消しは免れたということです。

特定行政庁にも確認検査機関と同様のミスあり しかし、処分はなし


(4)一方、姉歯元建築士の構造計算書の偽造を見抜けなかった29特定行政庁の大半は建築主事の処分を見送った。その理由は、巧妙な偽造の手口が巧妙で見抜けなかったので、法的過失があったとまではいえない、から。

(5)しかし、同様の手口見抜けなかった確認検査機関を国交省は処分しているので、この対応のギャップは公平性を欠いている。そこで、国交省は処分するように、特定行政庁に働きかけている。しかし、特定行政庁の腰は重い。

(6)イーホームズの元社員の大半は新しい職場で再起をはかっている。

(7)確認検査機関も特定行政庁も、構造検査の体制の強化に取り組んでいる。確認検査機関はマニュアルやチェックシートなどの審査基準の整備、ダブルチェックやトリプルチェック、確認審査や検査のスタッフの増員。一方、特定行政庁は、計算ソフトやレーダー探査機の導入などである。

いまも社長の判断は評価している イーホームズの元社員の声

ところで、この特集には、囲み記事がありました。その内容は、藤田さんの昨年の告発に対するイーホームズの元社員の評価でした。以下に、抜粋して引用します。

[引用開始]

・・・藤田社長が事件を明らかにしようとした点は、いまでも評価している。確認検査機関一社だけで解決できるような事件ではなかった。

[引用終了]

このイーホームズの元社員の方はこうものべていらっしゃいます。

[引用開始]

・・・事件後に「イーホームズはスピード優先だった」という報道もあったが、法令違反をわざと見逃して確認を通すようなことはなかった。周囲の同僚もまじめに働いていた。

イーホームズが倫理観を欠いた設計者に利用されてしまった点は、情けないと感じている。反面、イーホームズばかりが批判を受けた点は、正直フェアではないと感じた。確認申請ほかの確認審査機機に集中して持ち込まれていれば、その機関が指定の取り消しを受けていたのではないだろうか。

・・・・・・

[引用終了]

見逃した件数が一番多かったという理由だけでは、処分に差をつけることは無理

このあたりが、藤田さんが来年に提訴しようとしている裁判の争点となることは必至と思われます。なぜなら、国交省は、イーホームズの確認審査が、当時の他の検査機関の水準に比べて、とても杜撰な確認審査であったと説明する必要があるからです。

言い換えると、イーホームズが偽装を見逃した物件は、他の検査機関査機関でも、きっと見逃してしまってたはず、ということが証明できれば、イーホームズへの処分はフェアな処分とは言えないと言い得る、ということです。

こんな例を考えてみて下さい。大事故が発生して93名の重傷者が発生した。93名のうち52名は4つの民間病院に搬送された。割り振りは、37名→イーホームズ病院。13名→日本ERI病院。1名→東日本病院。1名→ビューローベリタスジャパン病院。結果は、全員が亡くなった。(残りの41名は29の公立病院に搬送され全員が亡くなった)。

ここで、他の民間病院と比較すると、イーホームズ病院が最も多数の人命を救助できなかった、ということだけを理由にして、イーホームズ病院のみ重く処分し、他の病院は軽く処分するという論理は成立可能でしょうか??

それは無理というものです。

イーホームズ病院は閉鎖処分。一方、29の公立病院になんの処分も課せられなかったら、なぜイーホームズだけが重いんだろ?? その理由を知りたいな、と思わないでいられるでしょうか?? 

それも、また、無理というものです。

余談ですけど、去年(?)、natureで、あるサルの集団で、不公平な扱いを受けたサルは、この扱いに対して抗議行動をする、という論文を読んだように思います。

モンキーなおもて抗議す、いわんやホモサピエンスをや、ですよね。
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2006.12/16(土) |  未分類  | Comment(5)  []

 
 

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■□ 

From : kent #wLMIWoss / URL -  2006.12・17  [edit]

初めまして。
私は、イーホームズに対する国交省の処分は妥当なものだと考えていますが、できたての基準で処分したというのは、その通りだと思います。

姉歯ですら、建築偽装の件では厳しく罰する法律が整備されていなかった。ましてや審査機関を処分する基準が、以前からあったとは考えられないです。

私は「偽造件数が一番多かったから」以外にも、国交省がイーホームズを退場させた理由はあると思いますが、裁判により、国交省の判断の理由が明らかになるのは、良い事だと思います。

■□ 

From : kent #- / URL -  2006.12・17  [edit]

返事ありがとうございました。

残念ながら、私は国交省や事件の関係者ではないのでイーホームズの審査基準やすべての偽装を見逃した物件について、詳細な情報、あるいは生データと呼べる資料は持っていません。

私は、闇権力がマスコミに圧力をかけて耐震偽装情報の隠蔽しているとは思いません。(この点に関しては、管理人さんも私と同意見だと思います。)例えば、読売新聞及び朝日新聞の一連の記事は信頼できると考えており、私の意見の根拠のひとつです。

なお仮に他社と比較して、どんなに立派な社内の審査基準を主張しても、実行出来ていなかったとすれば意味が無いと思います。

例えば、以下の記事はご存知だと思いますが、管理人さんはどのように考えますか?
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051126it05.htm

■□ 

From : 管理人 #- / URL -  2006.12・18  [edit]

kentさん、こんばんは。

ある人たちはこう考えているようです。マスコミが藤田さんの「まだ耐震偽装問題は終わっていない」を報道しない原因はただ一つである。それは「闇権力がマスコミに圧力をかけて耐震偽装情報の隠蔽している」からだ、と。

とても興味深い仮説だなと思います。しかし、管理人の意見では、この仮説は、通常人が疑いを差し挟まない程度にまで立証されてはいません。あくまでも、仮説の一つ、そう思います。個人的には、いくつかの原因が複合していそう、と感じてます。

完璧なマニュアルがあったとしても、そのマニュアルを遵守していなかったら無意味というご意見は、まさにそのとおりですよね。これも裁判の主戦場の一つになるはずです。

藤田さんの読売新聞への怒りは、2005年11月25日付け読売新聞の記事にかなり原因していると思います。こう感じた理由は、JanJan編集部による藤田さんへのインタビュー記事を読んだからです。以下に引用します。

「報告を理解できないマスコミによる「誤報」

 藤田氏はまた、昨年11月24日に行われた国交省によるイーホームズへの立ち入り検査の報告(※3)についてのマスコミの報道姿勢も厳しく批判した。新聞各紙はこれを「イーホームズ、検査の9割で手順無視」(読売新聞2005年11月26日)、・・・と報じた。

 しかし、国交省の報告では「抽出された98件中、大臣認定書の写し、指定書の写し、ヘッダの出力等、図書省略のできる形式的な項目に合致したのは2件で、残りの96件については、計算過程まで含めて審査すべき物件であった」とされており、藤田氏はこれを「98件中96件が『図書省略制度』を活用せずに原則規定で行った、というだけの意味」と説明する。

図書省略制度とは、大臣認定プログラムを使用した構造計算書に大臣認定書のコピーを添付すれば、確認申請時に確認図書の一部省略を行うことができるというもの。建築基準法施行規則一条の3で認められている。つまり、確認検査が適法か否かは、図書省略制度を活用する・しないに関わらない。藤田氏は「同省の報告はイーホームズの確認検査手続きが適法かどうかを調べたものではない。マスコミの『98件中適法は2件だけ』という報道は間違いだ」と指摘した。」

こうなると、藤田さんの言い分が正しいのか、上記の読売新聞の根拠となった 2005年11月25日付けの国交省の報告書の言い分が正しいのかを、(1)建築基準法, 国交省令, and 文献などを読み込んで考え、次に、(2)弁護士・学者・建築士・国交省などに問い合わせる必要が発生します。

これは、まだ、ちゃんとやってません。実は、一度少し(1)をやりはじめたんですけど、かなり、ややこしく、たいへんそうで、後回しにしちゃいました。

JanJan記事はここです↓
http://www.janjan.jp/living/0611/0611160787/1.php

国交省の報告書はここです↓
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071125_3_.html

■□ 

From : 管理人 #- / URL -  2006.12・18  [edit]

kentさん、おはようございます。

少し、追加します。

kentさんからのご提言をうけ、もっと勉強しようと思い、昨日から、HP『江口征男建築設計事務所』で、江口征男先生(一級建築士・東京3弁護士会 紛争処理委員・JanJanの市民記者)のお書きになった耐震偽装関係の連載を拝読しはじめました。
http://www.sol.dti.ne.jp/~eguchi/EGUCHI.9.html

一つご紹介します。2006/06/02付け「そこまでやるのか!保身の国交省がトカゲのシッポ切り!!」(JanJanとリンクされてます)
https://www.janjan.jp/living/0606/0606015293/1.php

また、建築知識や日経アーキテクチュアなどの建築関係の専門誌の記事、建築関係の学会のシンポジウムの記録、最近刊行された岩波新書『建築紛争』etc。これらで知った専門家の主張も、おしなべて、新聞の主張とはたいへんに異なっていました。

管理人は、かつてマスメディアの取材を受け、記事の間違いに憤慨した経験が数度あります。それでどうしても、新聞記事よりも、専門誌の記事や専門家の言い分の方を信じる傾向があります。

もちろん、必ず、新聞の主張<<専門誌や専門家の主張とは限りませんは。よって、本当のことを知るためには、より多数のデータと照合したり、いろいろな方のお考えを聞く必要があります。

というようなわけで、今後もどうかよろしくお願い致します。

追記

よろしければ、拙Blogのこの日記もどうぞ。

「検査を省略してもいいと定めたのは国」(野辺公一編
http://tobeajornalist.blog71.fc2.com/blog-entry-14.html

■□ 

From : kent #- / URL -  2006.12・19  [edit]

管理人さん、丁寧な返事ありがとうございました。
この問題についての取り組む管理人さんのスタンスがよくわかりました。
今後もこのブログを期待して、読みたいと思います。

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